新医薬品を世界中の患者さんにお届けするには、それに先立ちヒトでの試験を行い、安全性や効果を調べなくてはなりません。

医薬品開発のグローバル化が進む中、この、ヒトでの臨床試験を行うに当たり、私が心がけていることが2つあります。

  1. ご協力いただいた被験者様の気持ちを大切にし、そのデータを必ず役に立てる
  2. 市場となる国の文化的背景までを理解し、効率の良い開発計画を立てる

という点です。

 

まだ認可されていない医薬品ですから、試験に参加する被験者さんの安全と人権を守ることが、最優先されるのは当然ですが、それだけではなく、大袈裟に言えば、被験者さんの命までも捧げたご協力によって得られたデータの貴重さを決して忘れてはならないと思います。ですから、そのデータの取り扱いは慎重に行い、処理の過程でのミスは最も避けなければならないことです。

また、巨額マネーの動く業界ですから、ともすると大きな資金と時間をかけて数多くの大規模試験を行うことで必要な結果を導き出すという戦略もとられがちですが、ものごとの本質を見極め、本当に必要なデータを取るための最小限の試験を行うことが、開発のスピードアップ、コストダウンにもなり、より多くの患者様に早く、医薬品を届けることにつながると確信しています。また、より少ない被験者での試験は、倫理的に考えても価値のあることです。

グローバル開発の中、そのような戦略のカギになるのは、開発国での文化的背景まで捕え、当局の真の要請を理解し、開発計画をたてることと思います。

私たちは、長年の日米における臨床開発経験だけでなく、実際の社会での生活経験を生かし、両国の文化的背景をベースに、最適な開発計画を提供したいと願っています。

そして、有用な医薬品を1日でも早く、そして少しでも多くの世界中の患者様にお届けすることを願っております。

■代表取締役社長 三村 亨 /   Toru Mimura

略歴

食品大手の味の素株式会社に就職、「うま味」の研究に3年間従事した後、医薬品部門で主に抗がん剤や抗HIV剤の臨床開発を担当。以降30年以上一貫して医薬品開発畑を歩む。97年渡米、抗HIV剤の臨床開発などを経て、2001年に米国CROのPRA Internationalへ移籍。それまで製薬企業の立場から関与してきた臨床開発に、CROとして参加する。2005年から、日本のCRO、(株)IBERICAの米国子会社の社長。日米の臨床開発をスポンサー、CROの両面から経験。2018年HGMI Health 設立。

1956年群馬県高崎市生まれ。東京大学薬学部卒業、薬学博士。トランスレーター資格認定。